すべてはこの国の劇場文化のために
新潟で日本初の劇場専属舞踊団Noism Company Niigataを設立、踊り、創り、率いてきた舞踊家の18年の軌跡。
17 歳で渡欧、巨匠ベジャールやキリアンの寵愛を受けて帰国した舞踊家・振付家、金森穣が日本で選んだのは、茨の道だった。
全国各地に立派な劇場があるのに、なぜ創造・発信をしないのか。
日本に真の意味での劇場文化を築くために、創り手として何ができるのか。
欧州での10 年間の経験から金森が導き出したのは、「劇場専属舞踊団Noism(ノイズム)」を作り、メソッドを構築して舞踊家を育て、作品を創作し、地方から世界と勝負することだった。
2004 年に設立したNoism は、以来、国内外で絶賛され続ける一方で、つねにさまざまな闘いを繰り返していく。
劇場専属と集団の美にこだわるゆえの葛藤と行政との衝突。切実な舞踊への愛……。
何度も存続の危機を乗り越えながら、今ようやく「市の文化政策」となったNoism が目指す、劇場のあるべき姿とは。そして新生Noism の行方は。文化政策関係者、舞踊関係者、ダンサーを志す人はもちろん、現代を生きるすべての人に贈りたい、胸が熱くなる渾身の回顧録!
Noismをめぐる18年間の闘いの物語は、この国の劇場文化の姿を伝える重要な事例であり、数十年後、あるいは100年後の未来、私やあなたがいなくなった世の中で、その時代を生きる芸術家の役に立つかもしれない。(「はじめに」より)
闘う舞踊団
金森 穣=著
佐々木暁=装幀・組版
本体2,000円+税
新書版変型/がんだれ製本/264頁
978-4-909179-09-8 C0036
Noism Company Niigata
2004年に設立された、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を本拠地とする日本初の公共劇場専属舞踊団。プロフェッショナル選抜メンバーによるNoism0、プロフェッショナルカンパニーNoism1、研修生カンパニーNoism2の3集団がある。
22年9月より、新潟市が新たに明文化した文化政策「新レジデンシャル制度」に則り、国際活動部門と地域活動部門の2部門制で活動している。 www.noism.jp
メディア・書評情報
2023/2/18 「毎日新聞」今週の本棚(渡辺保氏・評)
2023/4/2 「新潟日報」「にいがたの一冊」(秋野有紀氏・評)
2023/4/30 「読売新聞」「本・よみうり堂」(祐成秀樹氏・評)
共同通信配信「各地の本」
公演情報
Noism0+Noism1 金森穣:演出振付
新生Noism 新作第1作は “さすらい人” の詩
シューベルト歌曲によって紡がれる、さすらう人々の詩(うた)
沈黙の叫びと共に屹立する舞踊家たち。
Noismの新たな旅がここから始まる。
【新潟公演】2023年1月20日(金)〜2月4日(土)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館(スタジオB)
【東京公演】2023年2月24日(金)〜26日(日)
世田谷パブリックシアター
金森 穣 かなもり・じょう
演出振付家、舞踊家。Noism Company Niigata 芸術総監督。
1974年、神奈川県横浜市生まれ。17歳で単身渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。ルードラ・ベジャール・ローザンヌ在学中から創作を始め、NDT2在籍中に20歳で演出振付家デビュー。10年間欧州の舞踊団で舞踊家、演出振付家として活躍したのち帰国。03年、初のセルフ・プロデュース公演《no・mad・ic project—7 fragments in memory》で朝日舞台芸術賞を受賞。
04年4月、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任し、日本初となる公共劇場専属舞踊団Noism を立ち上げる。革新的な創造性に満ちたカンパニー活動は国内外から高い評価を得ている。
平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞、第60回毎日芸術賞など、受賞歴多数。令和3年紫綬褒章。
photo: Shoko Matsuhashi
目次
はじめに
第Ⅰ部
1 舞踊人生のはじまり
2 学び多き欧州での一〇年
第Ⅱ部
3 「劇場専属舞踊団を作らせてください」
4 なぜ劇場専属舞踊団が必要か
5 苦難のはじまり
[Column]Noismサポーターズ
6 Noismの身体性を模索する
7 試行錯誤から見えてきたもの
[Column]海外公演の実際
8 舞踊家を育てる
9 舞踊団を率いる
10 日本の劇場の問題点
11 作品・観客・劇場を育む
[Column]《劇的舞踊「カルメン」》がもたらした出会い
12 暗いトンネルの先に
第Ⅲ部
13 活動継続の是非が問われて
14 コロナ禍の収穫
[Column]舞踊家の生き様を写しとる
15 文化政策としてのNoism誕生
16 バトンを受け取るあなたへ
あとがき