「助けられる存在」から「まちづくりの主人公」へ。
重度障害者が拓く、インクルーシブ社会への道
70年代に国家プロジェクトとして建設された「筑波研究学園都市」(茨城県つくば市)の片隅で、重度身体障害者たちによるインクルーシブな社会への挑戦が20年以上にもわたって行われてきたことは、あまり知られていません。
本書は、いつ、どこで、誰と、何をするのかを自分で決める暮らしを、障害の重さにかかわらず実現するための当事者団体「つくば自立生活センター ほにゃら」をめぐる物語です。
「ほにゃら」に魅せられ、介助者としてもかかわるフォトジャーナリストが、当事者と支援者を丹念に取材。かれらの物語の中に、障害者の現実と闘いの軌跡、そして誰もが住みよいまちづくりのヒントを見出していきます。
障害者たちが「まちで生きる」ことによって、まちは確実に「変わっていく」。
インクルーシブ社会に関心がある人、生きづらさを抱えた人必読! 「行動すれば、社会は変わる」と思える1冊です。
70年代に国が築いた先端科学のまちつくばの片隅で、21世紀的価値観による「発展」が、障害のある人たちの手によってもたらされてきた。本書が描くのは、(…)情熱とユーモアと、愛に満ちた20年の軌跡の物語であり、このまちのもう1つの実験の成果である。(「はじめに」より)
まちで生きる、まちが変わる
つくば自立生活センター ほにゃらの挑戦
柴田大輔=著
山田和寛(nipponia)=装幀・組版
本体2000円+税
四六判/並製
カラー/272頁
978-4-909179-10-4 C0036
柴田大輔 しばた・だいすけ
1980年、茨城県生まれ。写真家・ジャーナリスト
写真専門学校を卒業後、フリーランスとして活動。ラテンアメリカ13か国を旅して、多様な風土と人々に強く惹かれる。2006年よりコロンビアに深くかかわり、住民と生活を共にしながら、紛争、難民、先住民族、麻薬などの問題を取材し続けている。その他、ラテンアメリカ諸国、国内では障害福祉、地域社会をテーマに活動する。
つくば自立生活センター ほにゃら
「自分たちのことは自分たちで決める。自分たちのことは自分たちが一番よく知っている」を合い言葉に、どんなに重い障害があっても普通に生活できるまち、誰もが安心して暮らせる社会の創造を目指す、障害者の自立生活を支援する自立生活センター。2001年、茨城県つくば市で設立。運営・活動は障害当事者を中心に行われている。
目次
はじめに
1 旅のはじまり
2 自分たちの手でまちを作る 斉藤新吾さん
3 ほにゃら前史 宮本早苗さんの闘いとつくばの障害者運動
[介助者のつぶやき]介助に発生する磁場 尾和忠直さん
4 受け取った「自立生活」のバトン 栗山朋美さん
[親のつぶやき]娘が自立生活をするなんて 栗山ツヤ子さん
5 自立生活を支えるということ 森下直美さん
6 信じる人と生きていく 川島映利奈さん・細島秀哲さん
[介助者のつぶやき]介助を通じて地域の一員に 前川湧さん
7 ほにゃらで人生が変わった 生井祐介さん
8 まちの形を変える制度を作る
[介助者のつぶやき]みんなで楽しく社会を作る 成田恵理さん
9 誰もが自分らしく生きられる社会へ 川端舞さん
10 パラグアイで見た青空
あとがき
年表・ほにゃらと日本の障害者運動