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『したてやのサーカス』刊行のご案内


「これはひとつの、社会運動です」

——音楽家の一言に導かれ、 私は「仕立て屋のサーカス」をめぐる旅に出た。

その公演に魅了された人々の語りから立ち上がるのは、舞台体験を超えた多層的な世界。

これは、自分自身の物語を生きるためのアイデアとエールが詰まったおはなし集です。


「ぼくはこれを、社会運動のつもりでやっているんです」

立ち上げメンバーのこの一言がきっかけで、私が舞台芸術グループ「仕立て屋のサーカス」をめぐるインタビューを始めたのは、2019年夏のことでした。

 

「仕立て屋のサーカス」は、2014 年の結成以来、1000年先まで続く舞台表現の萌芽を求めて実験を続けてきました。

演劇でもダンスでもライブでもなく、そのすべてでもあるような独自の世界観は、国内はもとより、スペイン、フランス等、海外でも喝采を浴びています。

 

しかし、私たちを縛るあらゆるものから解き放つ、自由で風通しのよいこの空間の背後に壮大なコンセプトがあることは、あまり知られていません。

 

18歳以下は無料、撮影・録音はOK。

全席自由。椅子に座っても、舞台上に座っても構わない。

入口をくぐると、飲食に雑貨、古本などの市場が広がっている……。

 

「仕立て屋のサーカス」を通して彼らは何を伝えようとし、その公演に魅了された人たちは何を受け取ってきたのか。

 

「許されている感」がすごくあった——ミロコマチコ(画家・絵本作家)

自分の求めていたものが凝縮していた——中嶋朋子(俳優)

体に心地良い熱が残る、精神性を感じる祝祭——石川直樹(写真家)

彼らは完成することのない、発酵を続ける生命体——勝見淳平(パン職人)

社会の隅に隠れているものに目を向けたい、という気持ちがにじみ出ている——関根光才(映像作家)

 

1年間にわたって集めた22の証言から見えてきたのは、観客の意識に変化をもたらし、社会を少しだけ変えていく、単なる舞台芸術を超えた多層的な世界でした。

 

これは、どこか息苦しさのある今の時代にこそ贈りたい、自分自身の物語を生きるためのアイデアとエールが詰まったおはなし集です。

 

夕書房・髙松夕佳(聞き手・編)


したてやのサーカス

 

曽我大穂=監修協力 髙松夕佳=聞き手・編

佐々木暁=装幀 三田村亮=写真

 

本体 2,000 円+税

四六判変型/上製

328頁/カラー口絵8頁

978-4-909179-06-7 C0074

 

2020年12月初旬配本

 

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仕立て屋のサーカス circo de sastre

音楽家・曽我大穂と服飾家・スズキタカユキを中心とした現代サーカスグループ(2014年結成)。新宿ルミネゼロ、表参道スパイラル、原 宿 VACANT、金沢21世紀美術館、城崎国際アートセンター、福岡UNION SODAなど日本全国、スペインやフランスなど海外でも公演を開催。ミロコマチコや中嶋朋子、辻本知彦、青柳拓次ら多彩なゲスト公演も話題。www.circodesastre.com


曽我大穂 Daiho Soga

音楽家、多楽器奏者。1974年、奈良市生まれ。フルート、カヴァキーニョ、テープレコーダ、鍵盤楽器、トイ楽器などを使った即興演奏が持ち味。ジャム・バンド「CINEMA dub MONKS」のリーダー。2014年、スズキタカユキらに呼びかけて「仕立て屋のサーカス」を結成、基本設計を手がけるとともに、総合演出を担当する。その他、ハナレグミ、二階堂和美、グットラックヘイワ、mama!milk等のライブ・レコーディングサポート、テレビCM音楽の演奏・制作や、他ジャンル(映画、ダンス、演劇、写真、小説)とのセッション多数。近年は即興演奏のソロ公演なども行っている。

目 次

はじまり

 

どこにも寄りかからず、すべてを含んだここにしかない景色 曽我大穂

 

精神性を感じる祝祭 石川直樹

許されている場所 ミロコマチコ×曽我大穂

もっといいやり方を探している 原田郁子×曽我大穂

別世界へ飛べる装置 小金沢健人

野原に建てる自分たちの小屋 関根光才

 

多様なまま共にあること スズキタカユキ

 

破壊の後に見える「美しさ」 西谷真理子×スズキタカユキ

すべてが溶け合う循環型の舞台 納谷新

あの場所にいられる 植田浩平

 

「すみっちょ」を楽しむレッスン ガンジー

 

ルールのないところから立ち上がる核心 中嶋朋子×曽我大穂

気の抜けないスリリングな舞台 青柳拓次×曽我大穂

あのとき飛び込んでよかった 手島すみれ

発酵し続ける生命体 勝見淳平

 

古代と現代をつなぐ非日常空間 渡辺敬之

 

人生の本質を追体験する小屋 石田悠介

名前を持たない旅人たち マテオ・フェイホー

妥協のない手づくり集団 小寺史郎

手探りでつくりあげるよろこび 大神崇

 

強度のある表現と長く続くルールを求めて 曽我大穂

七年目のディスカッション 曽我大穂×スズキタカユキ

 

それから

 

仕立て屋のサーカスのあゆみ

出店者リスト 


【証言者たち】

石川直樹(写真家)/ミロコマチコ(画家)/原田郁子(音楽家)/小金沢健人(美術家)/中嶋朋子(俳優)/青柳拓次(音楽家)/関根光才(映像作家)/西谷真理子(編集者)/石田悠介(映像作家)ほか


刊行記念イベント


仕立て屋のサーカス コンサートフィルム 『Cut the Fish』配信決定!

演出:仕立て屋のサーカス 映像監督:関根光才

公開日:2020年12月28日(月)〜2021年1月17日(日)

TICKET:¥1,200(12/28公開時より販売開始)

BUY TICKET:仕立て屋のサーカス Vimeo より